悲別ロマン座Kanashibetsu Romanza
雪の降る日の悲別ロマン座。石積みの壁と大きな三角屋根、入口の前に赤い看板

北海道歌志内市上歌 | 「昨日、悲別で」ロケ地

悲別ロマン座

炭鉱の映画館は、一度廃墟になり、ドラマの舞台になり、八年かけて蘇った。

昨日悲別で 少年が生まれ 今日悲別で 少女と出逢った 明日悲別で 小さな灯がともる 倉本聰

ロマン座の入口に立つ赤い看板に、この詩が書かれています。

昨日1984年のドラマ

「昨日、悲別で」というドラマを覚えていますか

1984年、日本テレビ系の金曜劇場で放送された倉本聰脚本の連続ドラマ。炭鉱町の悲別から東京に出てタップを習う青年リュウと、故郷に残った仲間たち。出た者と残った者の心の往復を、十三回にわたって描きました。

一度再放送されたきり、ビデオにもDVDにもなっていません。「22才の別れ」を聞くと今でもこのドラマを思い出す人は、たぶん多い。

ドラマと登場人物
「かなしべつ」の駅名標の前に立つ石田えりと天宮良
「かなしべつ」の駅名標の前で。ゆかり(石田えり)とリュウ(天宮良)
雪の中で学生帽をかぶった若者四人が肩を組んで笑っている
悲別の仲間たち
赤ちょうちん「春ちゃん」の前に立つ大滝秀治と五月みどり
「春ちゃん」の前で。大人物(大滝秀治)と春子(五月みどり)

去年の春まで悲別にいたんだ
北海道の砂川って町から南に入った炭鉱町でね
昔は良かったけど今はもう駄目さ
炭鉱はつぶれる寸前だし 国鉄だってひどい赤字で
もうじきなくなるっていう噂がある

あっちのことは忘れたいんだ 山も炭住も雪も川も
それと それからお袋のことも

でもそのお袋がさ 手紙をよこすんだ
見ったくない字でさ しまんない手紙を
ほんとにしまんなくって 涙が出てくる

昨日、悲別で キツネがひかれた
昨日、悲別で 女の子が生まれた
昨日、悲別で 飲み屋がつぶれた
昨日、悲別で 昨日、悲別で・・・

第一話 リュウの心のセリフより

今日蘇った劇場

廃墟から、八年

ロマン座の正体は、昭和28年に炭鉱マンの福利厚生のために建てられた「住友上歌志内炭礦会館」。閉山後は朽ちるにまかせ、ドラマのロケでは中に入ることさえできず、外観だけが撮られました。

放送のあと、訪ねてくる人が現れた。倒壊を防ぐ仮の柱、ぬかるみに砂利。やがて「再生」を夢見る声が出て、歌志内市と地元の企業、商店主、市民の手で修復が始まります。落ちた天井、歪んだ戸、崩れた石垣。歌志内駅から出た枕木を敷き、あいだに芝を植えた。八年かかりました。

再生への道
夏の悲別ロマン座。石積みの壁に四代目の切り文字の看板、手前に緑の芝
現在のロマン座。看板は四代目
1984年当時の廃墟のロマン座。屋根が落ち、壁が崩れている
1984年、ロケ当時。廃墟だった上歌会館
初期の板看板
初期の看板
映写室に残る古い映写機
映写室の映写機
明日ここを訪ねる

悲別駅と、ロマン座へ

ドラマで「悲別駅」として撮られた旧上砂川駅は、廃線のあと移設され、時刻表も改札もそのままに残されています。ロマン座はそこから車で三十分ほど。どちらも、来た人を静かに迎えます。

悲別ロマン座
北海道歌志内市上歌1-5 砂川駅から車で約30分
悲別駅
空知郡上砂川町北1条1丁目3番 4月上旬〜11月中旬、9:00〜17:00
アクセス
移設保存された上砂川駅の駅舎。看板に「悲別駅」の文字
悲別駅(旧上砂川駅)
駅舎内に飾られたロケ当時の写真
駅舎の中には、ロケ当時の写真
夕暮れの悲別ロマン座
夕暮れのロマン座
『昨日、悲別で』ファンの会
ドラマの思いを語り合う場所。Facebook グループです。
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